支援学級を選んだ理由──息子の一言と、私が見聞きしてきたこと

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就学を前に「支援学級か、通常学級か」で悩む親御さんは少なくありません。
私もその一人でした。

今回は、リハビリ病院でお話しした「支援学級を選んだ理由」について、
そして当日は話しきれなかった、私の中にあったたくさんの「迷い」と「決断の理由」について綴ってみたいと思います。

<この記事がおすすめの人>

就学を控えた発達障害のあるお子さんを育てている保護者の方
療育や子育て支援に関わる支援者・専門職の方

息子の就学先として、私たち家族は「支援学級」を選びました。
その選択は、息子の特性と本人の言葉、そして私がこれまで出会ってきた子どもたちや保護者の姿から導き出したものです。「頑張らないと過ごせない場所」は、子どもにとって楽しい場所でしょうか?
私たちは、息子が自分の力で少しずつでも進んでいけるような環境を選びました。
今回の私の話が、どなたかの参考になれば嬉しいです😊

目次

支援学級を選んだ理由──息子の一言と、私が見聞きしてきたこと

就学を前に「支援学級か、通常学級か」で悩む親御さんは少なくありません。私もその一人でした。

今回は、リハビリ病院でお話しした「支援学級を選んだ理由」について、そして当日は話しきれなかった、私の中にあったたくさんの「迷い」と「決断の理由」について綴ってみたいと思います。


支援学級を選んだ決断の背景

息子の一言がすべての始まり

息子がある日、何気なく言った「うるさいとこだと勉強できない」という言葉。普段、聴覚過敏がある息子にとって、音の多い場所はとてもストレスになります。オープン教室の学校では、先生の声がきちんと届かないだろうと感じた私は、この一言をとても重く受け止めました。

実は夫は、当初「通常学級でも大丈夫なんじゃないか」と思っていました。でもこの息子の一言が、彼の気持ちを変えたのです。「本人がそう言うなら、それが一番なんじゃないか」。家族としての方向性が一致した瞬間でした。


私が見聞きしてきた、さまざまな子どもたちの姿

小学校に行けなくなった子

以前、保育園までは順調に通っていた子が、小学校入学後すぐに登校を拒否するようになった話を聞きました。授業中に椅子に座ることができず、床に寝転がったり、教室を飛び出したり。母子登校が1年続いたといいます。

この話は、就学先の選択ミスがもたらす子どもへの影響を改めて考えさせられました。子どもの負担が大きすぎる環境は、親にとっても子どもにとってもとても苦しいものです。

大学生で引きこもりになった子

別の話ですが、子ども時代は目立つことなく、むしろ優等生だった子が、大学でつまずき、そのまま20年近く引きこもり生活を送っていたというケースもありました。

社会との関わりが絶たれ、何が原因だったのか周囲も分からなかったけれど、後年、発達障害と診断されました。「普通」に見えるけれど、生きづらさを抱えていたことに誰も気づけなかったのです。

自立して働く知的障害のある子

また、知的障害を持ちながらも、幼少期から支援を受け、今ではクリーニング店で立派に働いている方も知っています。バスに乗って出勤し、買い物やお金の管理もできるその姿に、支援の力と本人の可能性を強く感じました。


支援学級に通わせている親の声

支援学級に子どもを通わせている保護者の方の話も、大きな気づきになりました。ある方はこう話してくれました。「1年生のうちは基礎が大事。集団でわからないまま進むより、少人数で丁寧に教えてもらえる方が子どもの力になる」。

確かに、知的障害がない子であっても、環境次第で学びの吸収力は大きく変わると思いました。さらに、「子ども同士は支援級かどうかを意外と気にしていない。気にするのは大人のほう」という言葉にもハッとさせられました。

その方は、子どもに「どうしてあっちなの?」と聞かれたとき、「特別だから!」と笑顔で返すそうです。この言葉には、前向きなエネルギーと親の優しさが詰まっているように感じました。


自分の経験を通して思うこと

私は中学時代、英語の成績が悪く、進学校に進む選択を見送りました。その代わり、自分に合った高校に進学し、ストレスなく成績を上げることができました。結果、希望していた職業にもスムーズにつながったのです。

環境を変えることが「逃げ」ではなく、「工夫」になる。 その経験があるからこそ、息子にも「頑張り続けないといけない環境」ではなく、「自然に頑張れる環境」を選びたいと思いました。


まとめ:納得して選んだ支援学級

「人生のハードルは、無理に高くしなくていい」

低めに構えて、飛べるようになったら少しずつ高くすればいい。 そんな思いから、私たちは支援学級を選びました。

この選択が、今後どうなるかは誰にも分かりません。 でも、今の私たちは「本人が過ごしやすい場所」でスタートすることが大切だと信じています。

どんな選択にも正解・不正解はありません。 その時々で、自分と家族が納得できる選択をすること。 それが、きっと後悔のない子育てにつながると思っています。


おわりに

「後悔は、前よりも悪くなったと感じるから生まれるもの。ならば前より良くなるまで頑張れば、後悔なんてしなくていい。」

これは、私が悩んだときに自分に言い聞かせている言葉です。

今回の私の経験が、同じように悩んでいるどなたかのヒントになりますように。

この記事を書いた人

名前:とめこ 職業:作業療法士
作業療法士として働きながら自閉症スペクトラムの息子を育てています。最初は息子のこだわりと癇癪に戸惑い、自分を責めてばかりの毎日でした。でも、少しずつ「うちの子らしさ」に気が付き寄り添えるようになってきました。
このブログでは、仕事と子育てをする中で感じたこと、作業療法士としての視点、そして「今」の気持ちを綴っています。
同じように頑張っているあなたへ、温かい小さな灯りのように届きますように。

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